2009年世界の旅【34】北東回廊列車の旅 「アセラ・エクスプレス」でボストンへ
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ニューヨークの滞在時間もおおむねリミットとなり、33丁目と8番街の交点にある、ペンシルバニア駅(Pennsylvania Station)へ移動する。帰りはここから列車に乗ってボストンへ戻る。ワシントンDCからニューヨークを経由してボストン南駅へ走る特急列車「アセラ・エクスプレス」のチケットは、すでにインターネットで押さえてある。
ペンシルバニア駅は、かの有名なマディソン・スクエア・ガーデン(Madison Square Garden)の地下に併設されている。看板もあるがあまり目立たず、駅はおまけか添え物のようである。裏手に回るとそれらしい入口もあるが、人通りは少ない。
地下駅は空港ほどではないが明るく、清潔感もあって広い。ずらりと列車が並ぶ出発案内が掲げられているのは、ボストンの北駅で見たのと同じ雰囲気である。
自動発券機の前に立ち、web予約票のバーコードを専用の機械に読み取らせると、簡単にチケットが発行された。飛行機の搭乗券とほぼ同じサイズである。発車までの時間、コンコースに設けられたアセラ・エクスプレス専用の待合室で過ごす。ベンチが無数に並んだごく普通の待合室である。
発車時刻の20分ほど前に、プラットホームへ下る階段の前に並び、ここでもチケットのチェックを受けて古びたホームへ下りる。コンコースとはうって変わって薄暗い。
シルバーのカラーに身を包んだ「アセラ・エクスプレス」は、フランスのTGVの技術をベースにした列車で、TGV同様、先頭車は機関車で窓がないなど、車両の雰囲気もよく似ている。
この列車はワシントンDC発で、ニューヨークを経てボストンまでの、いわゆる「北東回廊」を走る。ニューヨーク・ボストン間約370 kmを約3時間40分、平均時速は100km程度だが、最高時速は200kmを超えるという。かつての代表列車「メトロライナー」を引退に追いやった、現在のアムトラックの花形列車である。
乗車口に立つ女性係員に迎えられて乗車し、指定されたコーチ車に入る。日本の普通車に相当し、2列+2列の座席が車両の中央に向かって「集団見合い式」に座席が並んでいる。私の座席は通路側だが、幸いなことに前向き。窓側の先客に軽く声を掛け、腰を下ろす。掛け心地は日本の特急列車と大差はないが、クッションは少し柔らかめに感じる。アメリカ人の体格を考慮したのか、背もたれが高く、前の座席との間隔が心もち広いのもありがたい。
列車にはビュフェ車が連結されていて、飲み物と軽食が手に入る。気分転換がてら覗いてみたが、ビュフェ、バーというよりは売店車の風情で、立ち止まって休憩する雰囲気ではない。コーラを買って座席に戻り、時折海岸線に近づいたり、内陸に入ったりと思った以上に変化に富んだ景色を眺める。
うつらうつらとして目を覚ますと、窓の外は暗くなっていた。19時40分、定刻より若干遅れて、行き止まり式のボストン南駅に到着。バスと比べれば空間も広く、快適な旅ではあったが、約120ドルの価格差ほどの気分差があったかどうかといえば疑わしい。
名残を惜しんで列車の写真を撮っていたら、黒人の女性駅員が、何をしている、と近寄って来て、私を駅から追い払った。
わずか1泊2日のニューヨーク滞在では、見逃したものも多い。国連本部やブルックリン橋などもそうだし、ウルトラクイズ好きとしてはメットライフビル(旧パンナムビル)を見落としたのは痛恨の極みだが、限られた時間の中では仕方がない。次の機会など期待もできないが、その時までとっておくよりほかない。
帰り道、クーリッジ・コーナーの和食レストラン「四季」 へ行った。現地に住んでいる日本人もよく利用しているようで、ちゃんとした日本料理にありつくことができた。酒をあまり飲まないせいもあろうが、しめて40ドル程度のお会計も懐に優しかった。
延々と、続く。
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