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2016/11/24

2016年秋・東北乗り歩き【4】津軽半島の先端へ

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Dscn5691  青函トンネルの建設契機となったのは1954年の洞爺丸沈没事故である。本州と北海道を結ぶ鉄道動脈の存在は、この事故による1,100人を超える犠牲の上に成立した。
 実質的な工事は1964年に始まり、1988年の営業開始まで24年の工期を費やしたが、この間、34名の殉職者を出している。
 この34名の慰霊碑が、青函トンネル記念館から10分ほど歩いた、国道339号線から少し外れた丘の上にある。地図によると、この慰霊碑のほぼ真下を青函トンネルが通っていることになる。


Dscn5692  慰霊碑を過ぎて、さらに国道を5分ほど歩くと、左手に大きな駐車場が広がった。龍飛崎灯台の駐車場である。
 道路を挟んだ駐車場の向かいには、2番に龍飛崎が登場する「津軽海峡冬景色」の歌碑。正面のボタンを押すと歌が流れるが、なにしろ周囲には人の姿が見えないから、ボタンを押すまでもなくつい歌が口をついて出てくる。風の音に紛れさせるように大きな声で歌いながら、ふと丘の上を見上げると、灯台に通じる階段に、作業員らしき人の姿が見えた。とたんに恥ずかしくなる。


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 山腹の階段を上って灯台へ上がる。山腹の木々にややさえぎられるが、龍飛漁港を見下ろす景色は爽快である。北側へ目をやれば、うっすらと北海道の姿が見える。青函トンネルの長さは53.9kmだが、龍飛崎と北海道最南端、白神岬の間は20km弱しか離れていない。


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 弘前から津軽半島の西岸を回り、小泊を経て龍飛崎へ通じる国道339号線は、この先龍飛漁港から半島東岸へ出て、三厩の市街地近くで終点となる。龍飛崎と龍飛漁港の間は全長388.2m、標高差70m、362段の歩行者専用階段であり、車道は通じていない。日本唯一の「階段国道」である。年間約18万人(2013年)が訪れる、外ヶ浜町最大の観光ポイントだという。
 龍飛漁港へ向けて階段を降りかけると、「9月21日に発生した火災処理のため通行できません」の貼り紙がある。それでも石畳の階段を少し下ってみたが、中腹あたりで完全封鎖になった。ふもとの様子を見ることはできず、仕方なく引き返し、先刻バスで登ったくねくね道を歩いて海岸へ降りる。


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 海岸沿いに出て国道を漁港方面へ向かうと、左手に木造の古びた建物がある。「奥谷旅館」と看板が出ているが、2階の窓には「観光案内所」の貼り紙もある。
 1900年代初頭からの歴史を持つこの建物は、1999年まで旅館として使われた建物が町に無償譲渡され、観光案内所として整備されたものだとのこと。「龍飛館」と名付けられ、かつてこの宿に逗留した太宰治や棟方志功、高橋竹山らにまつわる資料が展示されている。


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 館内にはこの他に、龍飛地区の歴史を紹介する一室も設けられていた。その中に、青函トンネル工事最盛期の集落の様子を残した写真があった。現在の青函トンネル記念館のあたりは工事関連の施設が立ち並び、その周りを鉄道建設公団や請負事業者の住宅が囲む。野球場もあったというから、現在の様子と比べると隔世の感がある。
 帰り際、龍飛館の係の方が、手作りの小さな飾りをお土産にくれた。潰れないようにと空気の入ったポリ袋に入れてくれる気遣いまで付いている。


Dscn5711_2  龍飛漁港の少し手前の住宅地に、先ほど上から眺めた階段国道の登り口がある。ここが通行できれば、龍飛崎灯台からものの10分であるが、私は遠回りで2km以上歩いてきた。
 この周辺で9月21日朝発生した火災で住宅・小屋含め14棟が全焼、亡くなられた方もいたと龍飛館で聞いた。通行止の階段国道は、「通る人は通ってますけどね」との話である。
 被害に遭った住宅のうち、道路側に近い方は解体がすんで廃材だけが積み上がっていたが、少し奥へ入ってみると、焼け落ちて外側だけが残った住宅が無残な姿をさらしていた。胸が痛む光景である。


 青函トンネル記念館付近や階段国道を含む国道339号線は、毎年11月中旬から4月下旬まで冬期通行止となる。風の吹き抜けるあの岬も、あと数か月すると雪に閉ざされるのだろう。北海道の冬も厳しいが、ここにも厳しい冬がきっと待っている。




 当分の間、続く。



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コメント

こんばんはいかさま。
以前青森旅行した時、竜飛岬へは強風で行けませんでした。
誠に残念!竜飛岬で津軽海峡冬景色をがなりたいと思ってたけど通行止め。
そのあとは黄金岬不老ふ死温泉に行ったんですけど、名物海中温泉には遭難しそうで入れませんでした。
冬の日本海は荒れたらすごいことになりますね。波の花が舞ってました。

投稿: mitakeya | 2016/11/24 20:21

最果て感と旅情溢れる地ですね!
この下を最新式の高速鉄道が通っている・・・不思議ですよね^.^;;

投稿: キハ58 | 2016/11/24 22:51

 mitakeyaさん、いつもありがとうございます。
 津軽半島・下北半島を旅していると、風力発電所が目立ちます。それだけ風の強いところなのだろうと思いますが冬はひどいことになるのでしょうね。札幌や旭川の比ではないのだろうと思います。
 次に龍飛を訪問されることがあれば、心置きなく「津軽海峡冬景色」を熱唱してください。とっても気分がいいですよ。特に2番のサビがよろしいかと思います(笑)

投稿: いかさま | 2016/11/27 23:34

 キハ58さん、いつもありがとうございます。
 実は私はまだ北海道新幹線に乗車していないのですが、荒涼とした龍飛崎に立つとき、足の下百数十メートルに新幹線が走っていること、そしてその工事で龍飛に千人以上が住んでいたことを思うと、いろいろと感慨深いです。

投稿: いかさま | 2016/11/27 23:40

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