« 2017年秋 北陸・東海乗り歩き【11】 地鉄を乗り継ぎ宇奈月温泉へ | トップページ | 2017年秋 北陸・東海乗り歩き【13】 黒部峡谷鉄道の旅(2) »

2017/12/01

2017年秋 北陸・東海乗り歩き【12】 黒部峡谷鉄道の旅(1)

 これまでの経過は ⇒こちら


Dscn6770 Dscn6772 
 10月14日、土曜日の朝は、午前6時過ぎにすっきり目が覚めた。鉄道の日、新橋-横浜間に日本初の鉄道が開通してから145年の記念日である。部屋のカーテンを開けると、窓の下にこれから乗る黒部峡谷鉄道宇奈月駅と発車を待つ客車群が見えた。ホテルの目の前には足湯もあるが、早朝でまだ営業はしていないようである。


Dscn6773 Dscn6774 
 黒部峡谷鉄道宇奈月駅は、富山地方鉄道の宇奈月温泉駅からすぐの場所にある。始発列車ゆえか、人影はまばら。駅窓口で、あらかじめネット予約しておいた乗車券を購入する。客車は窓のない普通客車、窓付きの特別客車、転換シートのリラックス客車の3種類があり、列車によってつなぐ車両が異なる。私は秋の朝の寒さを考慮し、行きはリラックス客車、帰りは普通客車を予約してある。すべて自由席だが、乗車する車両は指定されている。

Dscn6775 Dscn6781 
 改札が始まり、ホームに出る。オレンジ色の小さな機関車2両の後ろに、普通客車7両、リラックス客車6両が連なっている。都合15両の長編成だが、客車はどれも驚くほど小さい。指定された11号車に乗り込むと天井に頭がつかえそうである。レール幅は762mm、「ナローゲージ」と呼ばれ、JR在来線の4分の3ほどの狭さである。


 1両に3~4人ほどの乗客を乗せて、7時32分、発車。自動放送の沿線案内が流れる。明るい口調の声の主は、地元富山県出身の女優、室井滋である。宇奈月温泉のホテル街を両岸に見ながら黒部川を渡り、黒部川を右手に見ながら峡谷へと分け入っていく。


Dscn6787 Dscn6788 
 宇奈月ダムを過ぎてしばらく走ると、7時39分ごろ、駅を通過する。「柳橋」の駅名標がある。時刻表には乗っていない。もともと黒部川電源開発のための人員・資材運搬を目的に建設された歴史を持つ黒部峡谷鉄道は、現在も関西電力の発電所への作業員、資材を運んでおり、欧風建築の新柳河原発電所に隣接する柳橋駅は関西電力の専用駅で、一般旅客の乗降はできない。こうした駅が終点までの間に柳橋を含めて6駅存在する。


 黒部川に忠実に沿って走る線路は、右に左にと時折大きなカーブを描きながら走る。線路の左手はすぐ山が迫っているが、その手前に線路に沿うようにして時々コンクリートの小さなトンネルのようなものが見える。これは黒部峡谷鉄道が冬期間運休の間、作業員の通路として使われるのだという。高さもかなり低いようで、雪に閉ざされた黒部峡谷を、狭い通路を歩いて行き来する作業員の姿を想像すると胸が詰まる。


Dscn6795 Dscn6796
 専用駅の森石、近くに温泉もある一般駅の黒薙を過ぎると、列車は大きく右にカーブして黒部川支流の黒薙川を渡る。後方の車両に乗っているので、右へ向かって走る機関車と、それに続く窓のない普通客車の様子が見える。橋の上からは黒薙川にかかる古びたコンクリート製の水道橋がひっそりとその姿をさらしている。


Dscn6801 Dscn6803 
 専用駅の笹平を過ぎてしばらく走り、大きな落差を持つ出し平ダムを右手に眺めて、専用駅の出平を通過すると、黒部川の対岸に、アニメに出てくるような尖った山が重なるようにそびえている。「出六峰」と呼ばれる一帯の稜線は複雑で、細い谷を伝う沢は春先には滝のように雪解け水が下るという。この辺りが黒部峡谷鉄道全線のちょうど中間になる。


Dscn6805 Dscn6812 
 さらに上流には白いコンクリート造りの黒部川第二発電所があり、その対岸にやはり専用駅の猫又がある。本線から分かれた線路が黒部川をまたいで発電所まで伸びている。
 猫又を出てしばらく走ると、線路はいったん黒部川と別れてトンネルに入り、それを抜けると黒部川を渡る。ここから終点まで、黒部川は進行方向右手に沿う。鐘釣温泉への最寄り駅である一般駅の鐘釣は、ホームに売店もあって、中間駅で最も駅らしい雰囲気だが、この時間、下車する客は少ない。


Dscn6815 Dscn6817 
 駅の広いホームの向こうに、黒部川第二発電所への送水をおこなう小屋平ダムが見える専用駅の小屋平を過ぎるとラストスパート。トンネルをいくつか抜けて、終点の欅平へは8時47分に到着した。20.1kmを1時間15分、平均速度は約16kmと鈍足だが、黒部峡谷鉄道の険しい線形をよくあらわしている。乗車と降車の位置が分かれており、降車位置はホームのかなり先になる。真下には、黒部川第三発電所が見える。


 線路はさらに先へ伸びているが、一般乗客の利用はここまでで、関西電力黒部専用鉄道である。関電関係者以外はいわゆる「黒部ルート見学会」の抽選に当選した者だけが進むことができる。私が昨年当選しながら泣く泣く手放した権利である。私は欅平駅の先へ伸びる線路に目をくれることなく改札口へ向かった。見てしまったら悔しさがぶり返すに決まっている。


 続く。

ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチっとな

にほんブログ村 鉄道ブログへ にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ  鉄道コム

|

« 2017年秋 北陸・東海乗り歩き【11】 地鉄を乗り継ぎ宇奈月温泉へ | トップページ | 2017年秋 北陸・東海乗り歩き【13】 黒部峡谷鉄道の旅(2) »

鉄道の旅人」カテゴリの記事

コメント

こんばんは!
宇奈月温泉って、実は秋に行く予定だったんですよ。
その旅行は女房の会社から勤続年数に応じてのプレゼントだったんですが、病気で長期休職になったので辞退しました。
このブログを拝見していると、やっぱり行きたかったなぁって思います。
来年、考えてみるかな。

投稿: FUJIKAZE | 2017/12/01 21:23

宇奈月温泉も普通客車で紅葉を見たことも
思い出しましたヽ(´▽`)/
(記憶がうすれて全客車、窓がないものと思っていました)
本当に勉強になりますm(_ _)m

でもいかさまさんの旅を参考にさせていただいてると
いうことはバーで見かけたらいかさまさんに
声をかけていただけると(涙)お情けでいっていただきましたがよほどの偶然がなければ追っかけている私には
チャンスはありませんね~っ(ρ_;)
それにその奇跡のような偶然があったらいろいろ旅の出来事や知識を拝聴したいので眠れなくて
旅になりませんね(;´▽`A``
なんて余談でした。続き楽しみにしています!!

投稿: ゆきぱんだ | 2017/12/03 21:07

 FUJIKAZEさん、コメントありがとうございます。
 私は宇奈月温泉の安宿に泊まって欅平までほぼシンプルに往復するだけの旅でしたが、素敵な温泉旅館もたくさんありますし、黒部峡谷鉄道は四季折々にさまざまな絶景を見せてくれることと思います。
 せっかくの旅行をご辞退せざるを得なかった心中は察するに余りありますが、ぜひ奥様を伴って一度お出掛けになってみてください。マイナスイオンを一身に浴びて心身ともにリフレッシュできること請け合いです。

投稿: いかさま | 2017/12/04 22:20

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 黒部峡谷鉄道はやはり、窓なしの普通客車で風を浴びながら景色を愛でるに限りますね。寒さに敏感な私は片道だけ日和ってしまいました。相当なチキンです(笑)。
 私もいろいろな方の旅日記や本を読んで、それを参考にしながら旅を続けてきました。そうやっていろんな方と出会ってきましたし、お手本となった方と短い時間ですが一緒に乗り歩きをさせていただいたこともあります。
 旅をしているだけでこんなにたくさんの方とすれ違うことができる、そう思ったらゆきぱんださんともどこかで邂逅する機会はあるように思います。
 もっともそれまでにはお互い正体を披露していないと、全く気付かずに終わってしまいますけど(笑)

投稿: いかさま | 2017/12/04 22:27

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2017年秋 北陸・東海乗り歩き【12】 黒部峡谷鉄道の旅(1):

« 2017年秋 北陸・東海乗り歩き【11】 地鉄を乗り継ぎ宇奈月温泉へ | トップページ | 2017年秋 北陸・東海乗り歩き【13】 黒部峡谷鉄道の旅(2) »