« 【新幹線札幌駅考】その3 「大東案」で決着へ | トップページ | 2009年世界の旅【82】イギリス(1) 通じなくなった英語 »

2018/03/13

青函トンネル、満30歳

 青函トンネルの開業から、今日でちょうど30年になる。


 1988年3月13日に開業した青函トンネル(JR北海道・海峡線)は、翌月に開業した瀬戸大橋(JR四国・本四備讃線)とともに、北海道・本州・四国・九州の主要4島を鉄道で結ぶという画期的な出来事の主役となった。当時は「一本列島」というキャッチフレーズのもと、豪華(当時としては)寝台特急「北斗星」の投入もあって、一大フィーバーを巻き起こした。私は当時15歳。あれからもう30年になる。


 青函トンネル建設の直接の契機とされるのは1954年の「洞爺丸事故」である。北海道を襲った大型台風により青函連絡船5隻が沈没、洞爺丸の1,155名を筆頭に1,430名の死者・行方不明者を出した。この事故以降、本州と北海道を結ぶトンネル建設の機運が高まり、1961年に建設事業が開始されている。
 当時本州と北海道を結ぶ交通機関は、鉄道+連絡船が圧倒的なシェアを握っていたが、高度成長期以降、航空が台頭してきて次第にシェアを拡大していくようになる。


 1973年度にピークを迎えた青函連絡船の年間利用客は約499万人。この時点で東京・大阪-札幌の航空利用客は年間約348万人である。
 この比率差はその後急激に縮小し、わずか3年後の1976年度には逆転、国鉄末期の1986年度になると、連絡船202万人に対し、航空は幹線だけで631万人となる。東京-札幌に限定してみると、鉄道のシェアはわずか6%とされている。


 こうした環境は、もともと長距離輸送を前提に函館(東京)を基点とした体系を組んでいた国鉄の道内輸送を大きく変えた。1980年、千歳空港駅(現在の南千歳駅)を開業させて航空利用客の札幌市街地へのアクセスを強化するとともに、札幌を中心とした輸送体系への組み換えを進めていくことになる。
 さらに国鉄の経営悪化と「鉄道離れ」を背景に整備新幹線工事は凍結され、北海道新幹線を走らせるはずだった青函トンネルは一時不要論まで飛び出した。


 開業フィーバーに支えられた1988年度の青函トンネル利用客は年間306万人となり、前年度を大幅に上回った。しかし利用客数が300万人を超えたのはこの年だけで、ブームの沈静化やバブル崩壊後の景気低迷によって利用者の減少が続く。1996年度にはついに200万人を切り、2011年度には過去最低の135万人まで減少した。ピーク時の3割以下の数字である。


 北海道新幹線が開業し、2016年度の利用客は228万人と21年ぶりに200万人台を回復したが、2年目となる今年度は厳しい。利用者数は出ていないが、上半期の新幹線運輸収入は前年比23%減と厳しい現実が突き付けられている。


 これに加えて、開業から30年を経過したトンネルの老朽化対策も大きな課題である。1999年度から本格化したトンネルの機能保全を目的とした維持管理費用は、2018年度までで約300億円に達しており、JR北海道もこのうち100億円を負担してきている。
 さらに、2014年頃から、トンネル外部からの圧力による「盤ぶくれ」と呼ばれるゆがみが先進導坑でみられるようになり、補強工事がおこなわれている。こうした問題に対する大規模補修や老朽設備の更新などにも膨大な費用がかかるとみられ、JR北海道に重くのしかかる。


 このような状況下で札幌駅の大東案で75億円も余計に捻出できるのかよ、と皮肉のひとつも言いたくなるが、それはさておき、新幹線の札幌延伸が低迷するJR北海道の経営に対する起爆剤になることを祈るばかりである。
 ただ開業までは現状まだ12年以上ある。資金の枯渇で列車の運行が停止するのは避けなければならない事態だが、かといって安全対策をおろそかにされてトンネル崩落などということになっても困る。費用負担の話が問題になりそうなのは維持困難線区の件だけに限らないわけで、JR北海道とお金にまつわる話はエンドレスの展開になりそうである



ランキング参加中です。みなさまの「クリック」が明日への糧になります。よろしかったら、ポチっとな
にほんブログ村 鉄道ブログへ にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ 鉄道コム

|

« 【新幹線札幌駅考】その3 「大東案」で決着へ | トップページ | 2009年世界の旅【82】イギリス(1) 通じなくなった英語 »

鉄道の旅人」カテゴリの記事

コメント

快速・海峡にのって、表示板で記念写真を撮ってました・・・深いとこにいながら考えは深くなくて・・・あはは。
でも、こういうことなんですよね。

投稿: キハ58 | 2018/03/14 23:06

青函連絡船最後の運行に知人が乗船してさよなら連絡船みたいな??キーホルダーをいただいたのですが…数々のお宝(キーホルダー・切符…)と共に片付け好き??の父に
宝物箱ごと捨てられてしまい(ρ_;)泣いたことを思い出しました(涙)
JR北海道には知人の息子さんがお勤めなのでなんとか起死回生を強く望んで私も高速バス利用したい時もありますが
JR利用を小さな力と信じて心掛けています。
スーパー北斗のグランクラスはアテンダントや乗務員さんの接客はJR東の新幹線のグランクラス以上に良かったし親切でしたよ!!ゲランクラスに限らず(北海道好き
みんなにもっと利用してほしいです!!

投稿: ゆきぱんだ | 2018/03/15 16:24

 キハ58さん、いつもありがとうございます。
 本当はそのくらい軽い気持ちで利用できる交通機関であってくれるのが一番なんだろうと思います。ただ、同時期に開業した瀬戸大橋が比較的気軽に利用されているのと比べると雲泥の差がありますね。これがすべてだと思います。

投稿: いかさま | 2018/03/18 22:19

 ゆきぱんださん、いつもありがとうございます。
 残念ながらJR北海道の車内サービスも縮小される一方で、現在はスーパー北斗12往復のうち7往復で実施される以外はすべての特急から車内販売が消えてしまいました。全国的な傾向も同じようです。コンビニや駅売店で買ってから乗ってくださいということなのでしょうが、途中で熱いコーヒー1杯飲むことができなくなってしまったのは寂しい限りです。
 私も青函連絡船は利用したことはありませんが、食堂やサロンといった供食設備が充実していた連絡船に一度は乗ってみたかったなあ、と思います。

投稿: いかさま | 2018/03/18 22:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 青函トンネル、満30歳:

« 【新幹線札幌駅考】その3 「大東案」で決着へ | トップページ | 2009年世界の旅【82】イギリス(1) 通じなくなった英語 »