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2020/09/01

1990年春・九州一周の旅【10】路面電車で長崎一日散歩

 前回の続き


 オランダ村を出た私は、所定50分のところ2時間20分バスに揺られて佐世保駅に行き、快速「シーサイドライナー15号」と長与経由の普通列車を乗り継いで20時01分、長崎に到着した。諫早での待ち時間に予約しておいた出島近くの古びたビジネスホテルは1泊3,700円の安さで部屋も狭いが、どうせ寝るだけだから何の問題もない。荷物を置いて路面電車に乗り、崇福寺近くの「自由飛行館」で夕食。当地出身のさだまさしが経営するレストランで、現在は日中のみ営業のカフェとなっているが健在である。


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 4月2日月曜日、ホテル近くの出島電停から長崎電気軌道1系統の路面電車に乗った。築町(現:新地中華街)電停で3系統の終点、蛍茶屋へ行き、電車案内所で1日乗車券を購入。新中川町まで引き返してシーボルト記念館を目指すがあいにくの休館日だったため、次の新大工町から賑橋(現:めがね橋)へと歩を進め、眼鏡橋を見る。1634年以来の歴史を持つ眼鏡橋は1982年の豪雨で半壊の憂き目に遭ったが、翌年復旧されている。橋のたもとには人力車が客待ちをしている。乗るほどの持ち合わせはないが、300円払えば記念撮影をさせてくれた。


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 西浜町から5系統の電車で終点の石橋まで行き、引き返して大浦天主堂に立ち寄った後グラバー園へ行った。高校生300円の入園料を払って園内へ入ると、「動く歩道」が設置されており、2本乗り継いで一番高いところへ上ると旧三菱第2ドックハウスがある。1896年建築の船員宿泊施設を移築したものだそうだが、西洋建築の影響を受けた建物は一帯の風景によく合っている。建物の正面は広い池になっていたが、最近の写真を見ると池が狭められて通路になっている。30年も経つとこうした施設も姿を変えるものらしい。


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 旧オルト住宅から日本に現存する最古の木造洋館とされるグラバー住宅へと歩くと、青い空に色とりどりの花が鮮やかである。グラバー住宅の庭からは長崎湾を一望することができ、港を行き来する船の姿が見える。対岸には三菱重工の造船所がある。これより13年後、私は偶然この庭から豪華客船「ダイヤモンドプリンセス」の進水式を眺めた。今年2月、新型コロナウィルスの集団感染で話題になった船である。


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 2時間ほどで園内をひと回りし、電車の停留所に向かう途中で、昨日オランダ村に私を拉致したKSさんとばったり再会した。前日のしこりが若干ありバツが悪いが、これからグラバー園に入るという彼女と二言三言話して早々に立ち去った。オランダ坂を経由して1系統の電車で赤迫へ行き、引き返して松山町(現:平和公園)で下車し、平和公園~浦上天主堂~原爆資料館とめぐって最後に「一本足鳥居」の前に立った。山王神社の参道に4基あった鳥居のうち現存する唯一の鳥居だが、原子爆弾による爆風で片方の足が吹き飛び、以来75年片足で立ち続けている。こうした遺構を目の当たりにすると、やはりいろいろなことを考える。私は少々重い足取りでホテルへと戻り、そのまま引きこもって夜を過ごした。


1990040221  ところでこの日、オランダ坂のたもとにある東山手十三番館に立ち寄った。19世紀末の建築とされる外国人居留地の洋館はカフェになっており、雰囲気がよさそうだったので覗いてみたのだが、入口に「高校生以下お断り」の看板がある。お断りと言われると覗きたくなるのが心理で、スリッパに履き替えて店内に入り、メニューを受け取ると一番安いコーヒーが1,500円。今更撤退するわけにもいかず注文する。唐津焼のカップに入ったドリップコーヒーは確かに美味しかったが、ドトール7杯分はいかにも高価にすぎる。
 しかも怪しげな雰囲気を察したか、「大学生ですか」とマスターに尋ねられて「はい」と答え、「どちらの?」と畳みかけられて思わず「北大です」と夢うつつを口にした私は、その1年後嘘を真実に変える離れ業を演じることになる。
 その後カフェは閉店となり、2007年にこの建物は長崎市に買い取られて登録有形文化財となった。オープンスペースとなった東山手十三番館の一角では再びカフェが営業されているが、コーヒーは350円のようである。


 続く。



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