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2020/10/12

1990年春・九州一周の旅【12】都井岬と日南海岸

 前回の続き。


 太宰府天満宮を訪れた後、私たちはバスで香椎線の宇美へ出て、そこからタクシーでTKさんのご自宅にお邪魔し、夕食をごちそうになった。バスで博多へ出て、久しぶりの急行「日南」自由席でぐっすり眠り、宮崎で6時55分の日南線志布志行き普通列車に乗り換えた。サラリーマンで賑わっていた列車はほどなくガラガラになり、行き違いの長時間停車を繰り返しながら走り、9時31分着の串間で下車。大きな荷物をコインロッカーに突っ込んで、10時ちょうどの宮崎交通バスで都井岬を目指した。


 都井岬を目指したのは深い理由があったわけではない。夜行列車でゆっくり眠るために、なるべく南を目指そうと考えたことと、確か小学校の国語の教科書で「都井岬には野生の馬がいる」というのを読んでいくらか興味があった程度である。特段予定を決めていたわけではないし、時間が潰せて変わった景色が見られれば、行先はどこでもよかった。東京から来たという老夫婦ともう一人、それに私の4人を乗せたバスは、45分ほどで終点の都井岬観光ホテル前に着いた。老夫婦はそのまま歩いて灯台を目指し、私はホテルのレストランで食事をとる。このホテルは2010年に閉館し、一時廃墟化したが、解体されて現在は新たな施設が建っているとのこと。


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 1時間ほど休んだのち、都井岬灯台を目指して歩き出す。ホテルの前には「御崎馬」と呼ばれる野生馬が何頭も、人間の姿など興味ないといった風情で往来している。どこか日本離れした光景である。木々に囲まれた道を15分ほど歩くと、先ほどの老夫婦とすれ違った。「あと10分ほどですよ」と教えてくれる。10分足らずで突然、だだっ広い駐車場が開けて、灯台が白い頭をのぞかせている。近くの土産物屋で焼きトウモロコシをかじり、灯台への階段を登った。


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 1929年に完成し、130万カンデラの光度を持つ都井岬灯台は、真っ白な躯体を持つ「いかにも」な感じの灯台。入場は有料のようだが係員の姿はない。逡巡していると後ろから来たカップルがすうっと中へ入っていったので、私もそれに付き従った。海からの高さは255mだが、切り立った断崖の上にあるので灯台そのものは15mと低いので、少し首を上げれば光源が見える。これはなかなかの迫力である。そこから眺める海も美しかった。ぼんやりと遠くに水平線が霞み、足元の岩には波がぶつかっては砕ける。風が心持ち強く吹く中、私はそこに立ち尽くした。


 しばらくそこで過ごした後、私は御崎神社を経由して都井岬観光ホテルへ戻ったようである。当時の記録にはそう書いてある。だが断崖の途中に鎮座する御崎神社の写真は手元にない。風景としてはこちらも灯台に負けず劣らず印象的なはずだが、その記憶も定かではない。ただ、ホテルへ戻ると野生の馬の数が増えており、さらには14時40分発の帰りのバスの窓からは野生の猿の姿も見えた。そのことはしっかり覚えている。


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 串間からは16時25分発の宮崎行き快速「日南マリーン号」で日南線を宮崎へ向かった。途中、ふと思い立って17時53分着の青島で下車し、海岸を少し散歩した。海底から隆起した水成岩が長い年月をかけて浸食されてできた「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状岩が夕陽に照らされて神秘的な姿を見せてくれた。
 のちに自宅へ帰って家族と話した際に、両親の新婚旅行先が日南海岸であったという話を聞いた。図らずも私はそのルートを断片的ではあるが辿ったことになる。いろんな話を聞いたはずだが、父が語った、移動の際に寝台特急「富士」のいわゆる「ヒルネ」(寝台列車を日中の一部区間、寝台券なしで利用できること)利用したという話が強いインパクトになって、肝心の日南海岸の話をあまり記憶していないのが残念である。


 宮崎では9日ぶりに駅裏の「平和湯」を訪れ、2日ぶりの入浴でからだをゆっくり休めた。今日の宿はもちろん、博多行きの急行「日南」である。九州での日程も残り2日となった。明日の予定はほぼ何も決まっていない。私は湯船に浸かりながら、さて残った時間をどう使おうか、どこへ行こうか、と考えを巡らせた。


 続く。



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