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2023/09/03

2023春・「ついで」のミニトリップ【5】大阪・梅田貨物線

 少し間があいたが再び新線開業の話。


 この春の新線開業は、相鉄新横浜線・東急新横浜線と、福岡市営地下鉄七隈線(天神南-博多)の2区間だが、もうひとつ、大阪で既存線路の地下化による大きなトピックがあった。


 息子の入学準備のために大阪へ行った3月25日、伊丹空港から新大阪駅へバスで出た私たちは、13時28分発の関西空港行き特急「はるか29号」に乗った。目的地は天王寺である。普通なら御堂筋線でまっすぐ向かうか、伊丹空港からそのままバスで向かうのが正攻法だが、わざわざ特急料金を投入してまでこの列車に乗ったのは、地下化された通称「梅田貨物線に乗るためである。


Oosaka2  東海道本線・吹田貨物ターミナル~旧梅田貨物駅~大阪環状線・福島を結ぶ梅田貨物線は、国鉄分割民営化以降、新大阪方面と奈良・和歌山方面を結ぶ旅客列車が走行するようになり、特急「くろしお」「はるか」などが頻繁に行き交う。貨物線のため途中に旅客駅はなかった。
 国鉄分割民営化に伴い敷地が国鉄清算事業団に承継されていた梅田貨物駅は、2013年に営業終了となり、一帯の再開発計画と合わせて梅田貨物線は地下化されることになった。


 この工事が竣工し、営業を開始したのが今年3月のダイヤ改正から。地下化された区間は若干ルートが変更され、大阪駅北側に隣接する形で新たな駅が設けられた。「うめきた新駅」と仮称されていたこの駅は大阪駅の一部となり、特急列車が停車するようになって利便性が向上したほか、「おおさか東線」の旅客列車も新大阪から大阪まで運転区間が延長された。


 こうした経過から、地下化された梅田貨物線を「新線」と呼ぶのにはいくらかの抵抗がある。営業キロの変更もない。それ以前に運賃計算上の営業キロ設定はなく、以前から大阪経由のルートで運賃は計算されてきた。これは地下線化後も変わらない。この区間には過去何度も乗っている。乗車記録上の整理をどうするか大変迷っているが、とりあえず乗っておくに越したことはない。


Img_5074 Img_5076 
 さて、「はるか29号」は、車内外至るところにキティちゃんをまとっており、大の男2人で乗るには少々気恥しいが、座席の半分ほどを埋めた乗客はさして気に留める雰囲気もない。新大阪を出ると、東海道本線の複々線の右側を並走し、淀川を渡ったところで右へカーブして別れる。新御堂筋の高架をくぐった少し先で、地上を走る旧線の路盤が左へ別れ、徐々に下って地下線に入る。地下駅の大阪(うめきた新駅)からは単線となって、一転上り勾配となり、地上へ出るとすぐ左から旧線が合流し、大阪環状線の高架にぴったりと並走する。この間、大阪駅での停車時間も含めてわずか5分ほどである。


 線路はさらに上って、福島と野田の間でようやく高架の大阪環状線と同じレベルに達する。大阪環状線の線路を渡って内回りの本線へ入り、今改正で特急通過となった西九条を過ぎ、13時45分、天王寺に到着した。乗り終わってなお、これが純然たる新線とカウントするかどうかは判断できなかったが、少なくとも乗ったという満足感だけは残った。父の趣味をよく知る坊主は、腹の中はともかくとして迷惑気な顔ひとつせず黙々と父に付き従った。



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鉄道の旅人」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

 ようやく“うめきた新線”に乗られましたか。黙々と付き従ってくれるご子息は、エラいなあ。「はるか」でなく、「くろしお」のオーシャンアロー車両だと和歌山側の先頭が見晴らしよいのですが、グリーンです。

 私の場合、梅田峠を見極めようと、その「くろしお」に天王寺から大阪まで乗り、大阪駅地下ホームを探索後に、各停の久宝寺行きに乗りました。

投稿: 南太郎 | 2023/09/04 01:38

今回の大阪駅(うめきたエリア)の開業はあくまでも、なにわ筋線の前振りです。

なにわ筋線は大阪駅(うめきたエリア)〜中之島駅〜西本町駅(仮称)間をJR西日本・南海が共用。JR西日本は西本町駅(仮称)〜JR難波駅間で関西本線(大和路線)と接続。南海は西本町駅(仮称)〜南海新難波駅(仮称)〜新今宮駅間で南海本線と接続し、それぞれ関西国際空港・和歌山方面の列車が新大阪駅・梅田方面へ直通します。

中之島駅は京阪中之島線と接続。西本町駅(仮称)は大阪メトロ中央線の阿波座駅〜本町駅間と交差する位置に設置されます。西本町駅(仮称)の予定地は四つ橋線・中央線・千日前線を接続する連絡線がある位置と重なっており、物理的に他路線との接続駅が困難であるため、なにわ筋線のみの駅となります。

JR西日本は特急「はるか」・「くろしお」・関空快速・紀州路快速をなにわ筋線経由に移行して都心部に比較的近い中之島駅・西本町駅(仮称)・JR難波駅に停車させ、大阪環状線を環状運転の各駅停車に専念させることでそれぞれ利便性の向上を図ります。関空快速・紀州路快速については、大阪駅(うめきたエリア)の線路容量の関係から同駅折り返しとはせず、おおさか東線(大阪駅〈うめきたエリア〉〜新大阪駅〜久宝寺駅間)に直通させる運用がメインになるのではないかと考えられています。また、JR難波駅で関西本線(大和路線)と接続することから、特急「まほろば」をなにわ筋線経由に移行した上で定期列車化し、これまで独壇場だった近鉄奈良線の牙城を崩しにかかるのではないかとも言われています。

南海は従来は難波駅(なんば駅)止まりだった特急「ラピート」(一部時間帯は「サザン」も?)・空港急行を大阪駅(うめきたエリア)まで直通させ、梅田や新大阪駅方面への進出を狙います。

これに関連して、阪急も新大阪駅〜十三駅〜大阪駅(うめきたエリア)間の狭軌による新線を建設し、南海と相互直通運転させる構想を発表していますが、こちらの計画は具体的には未定です。

投稿: 龍 | 2023/09/05 03:01

南太郎さん、ありがとうございます。
お返事が遅れて申し訳ありません。

乗車したのが3月でしたので、比較的開業から間を開けず乗れた方かなと思っています。
私も「くろしお」のグリーンで先頭を眺めながらビューン!が理想だったのですが、予算の関係上、全車指定席の「くろしお」にすら乗れず、「はるか」の自由席でお茶を濁した次第です(笑)

投稿: いかさま | 2023/09/19 00:17

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