2023 いい日旅立ち・西へ【16】舞台は西から東へ
前回の続き。
ところで、3回前の記事で、熊本駅で乗車券を手配した話を書いた。
私の行程は、上熊本から久留米、夜明を経て、BRTひこぼしラインで添田へ。そこから小倉、広島方面へ乗り継ぐことになっている。このうち、BRTひこぼしラインは、災害運休となっている日田彦山線の代替ルートとはいえ、独自の運賃が設定されていて、鉄道扱いで通しのきっぷを購入することはできない。鉄道からBRT、またはBRTから鉄道にまたがる乗車券は購入可能だが、JR側の発着駅は限定されており、上熊本も熊本もその対象には入っていない。
普通に考えれば、上熊本-夜明の乗車券(2,530円)を買い、夜明-日田のBRTの運賃(660円)を現地払いとし、添田からはまた別の乗車券を購入するところである。上熊本-夜明-添田の合計は3,190円である。ただし、鉄道とBRTを通しで利用する場合、BRTの運賃が100円割引になる。別に100円が惜しいわけではないけれど、こういう局面でいろいろ調べてみたくなるのが私の性である。
上熊本-夜明のきっぷを、途中のうきはで分割して2枚のきっぷにすると、上熊本-うきはが2,170円、うきは-夜明が230円で計2,400円と通しで買うより130円安くなる。JRの運賃は一定のキロ刻みで設定されるので、駅間の距離によっては時折こういうことが起こる。さらにうきははBRT接続きっぷの購入が可能な駅なので、うきは-夜明-添田の通し切符を買えばBRTの運賃も100円引の560円。合計2,960円と230円も安くなった。
初日の武雄温泉のホテルで就寝前にこんなことを考えて、私はひとり悦に入っていたのである。
閑話休題、添田からは12時52分発の日田彦山線普通列車に乗る。この列車は途中の田川後藤寺止まりである。初日以来のキハ47形2両編成のディーゼルカーは空いており、すすけた感じの車内もあいまって、たいそうわびしい感じである。まばらな住宅と田圃を眺めながら走り、13時06分、田川後藤寺着。乗り継ぎの小倉行き、後藤寺線新飯塚行きと、構内にキハ47形3編成が集結している。乗り継ぎ時間に駅前へ出ると、33年の間に駅舎も建て替えられて雰囲気は一変している。
13時23分発の小倉行き普通列車の乗客も少ない。発車してすぐに後藤寺線が、そしてほどなく金田・直方方面への平成筑豊鉄道糸田線が左へと別れていく。こちらは田川市の市街地を大きく囲むように右へと曲がっていく。左手から直方からの平成筑豊鉄道伊田線が寄ってきて田川伊田着。発車すると、今度は行橋への平成筑豊鉄道田川線が右へ分かれていく。近隣で採掘される石灰石や筑豊炭田からの石炭運搬の要衝であったが、炭鉱も貨物列車もすでになく、1915年の開業以来の駅舎が残る採銅所駅付近でわずかに石灰石が採掘されている。
早朝からの移動で疲れたせいか、また窓の外の陽気のせいか、つい眠くなり、気が付くと日豊本線との接続駅、城野に到着するところだった。日田彦山線という路線は私を睡魔に襲わせる傾向があるようである。知らぬうちに高校生を主体に乗客が増え、座席がほぼ埋まる状況になっている。6分停車の間に、博多行き特急「ソニック」の濃紺のボディーが、古びたディーゼルカーの脇を駆け抜けていった。
14時14分、小倉着。ここからは一気に新幹線で本州へ入る。食事をとっている暇もなかったので、売店で「小倉かしわめし」を買ってホームへ上がる。行程表では14時31分の「のぞみ36号」に乗る予定だったが、臨時列車だが運転日に当たっていた1本早い14時23分発の「のぞみ168号」に乗れた。食事と喫煙(今年4月で車内の喫煙室は廃止された)で、くつろぐ暇もなくあっという間の15時11分、広島着。わずか48分で、今朝から6時間かかってやって来たのとほぼ同じ距離を稼いだ。新幹線は実に早い。
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