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2024/08/18

2023 いい日旅立ち・西へ【27】念願の室戸岬灯台へ

 前回の続き


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 海の駅東洋町で1時間弱を過ごし、12時20分発の室戸営業所行き高知東部交通バスに乗った。中型のバスに乗客は私ひとりである。
 28年前、はじめてこのルートをたどったときは、甲浦駅前から室戸経由高知行きの直通バスに乗った。終点の高知まで3時間余りをかけて走る非常に長い路線バスに10人足らずの乗客が入れ替わりながら乗っていたことを思い出す。海岸沿いを走るバスからの景色は美しいが、途中の停留所でもまったく乗降はなく、寂しい。


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 13時04分着の室戸ジオパークセンターで下車。2011年にユネスコの世界ジオパークに選定された室戸エリアの地形や文化・風土に関する展示がある立派なセンター内に他に客の姿はなく、わずかに建物内のカフェで3人ほどの地元客と思しき人々が談笑している。
 13時25分発の安芸営業所行き高知東部交通バスは、先ほどよりさらに小さい小型のバス。折り返しの始発便で、やはり乗客は私ひとりである。甲浦発の便が室戸市内で内陸の室戸高校を経由するのに対し、こちらの便は海岸沿いに室戸岬を経由する、28年前と同じルートをたどる。


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 10分ほどで到着した室戸岬バス停で下車。28年前はここを素通りで駆け抜けたが、道路を挟んだ山の上にある室戸岬灯台の姿が印象的だった。バス停に降り立つと、その灯台の姿は山陰に隠れて見えない。代わりに、目の前には中岡慎太郎の銅像が立ち、その斜め上方に小さな展望台の姿が見えた。
 5分ほどかけてその展望台へ上る。「恋人たちの聖地」と書かれているが、私には何の縁もない。おだやかな海が180度以上開けている。右下の方には、先ほど見上げた中岡慎太郎の後頭部が見える。


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 それから海岸へ降りて、海辺の遊歩道をしばらく歩いてみたが、やはりどうしても山の上にある室戸岬灯台が気にかかる。次のバスまではまだ1時間ほどあり、案内看板には灯台まで20分とあるから、行って帰ってくることは可能だろう。そう思った私は、登山道のような灯台までの道を登り始めたが、ほどなく後悔の念に駆られた。登山道は想像以上に険しく、無造作な石段が延々と続いている。足はがくがくするし、呼吸も乱れる。そのうえところどころに、得体のしれない獣の糞も転がっている、時々木々の間から見える海岸線は間違いなく遠ざかっているが、二度休憩をはさんでも灯台にたどり着く気配はなかった。


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 20分近く歩いて、分岐点に着いた。左へ行けば100mほどで室戸岬灯台、右へ向かえば最御崎寺(ほつみさきじ)とある。せっかくなのでそちらを先に訪問しておく。最御崎寺は四国八十八箇所の、高知県へ入って最初、第24番札所である。23番が日和佐の薬王寺だから、その間約75kmと非常に長い。歩いて巡礼して、最後の最後にこの登山道とはなかなかの苦行である。めったに来る機会のない場所だろうから、念入りに参拝しておいた。


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 そこから室戸岬灯台は、軽い下り坂を歩いて5分ほどだった。間近に見る灯台はそれほど大きなものではなかったが、ここまで登って来たという満足感が景色をより美しく見せた。雲の加減で時々色合いの変わる灯台と、そこから見下ろす太平洋の景色に、私はしばらく見惚れた。


Dscn5916  下りの登山道は息切れこそしなかったが、足はパンパンになった。途中、一組のお遍路さんとすれ違った。私がはあはあ言いながら登った登山道を、私より明らかに年配のお遍路さんは淡々と登っていった。
 登山道を降りたところにある岬ホテル前バス停で、安芸方面へのバスを待つ。11月も末だというのに私は汗びっしょりで、バス停脇にべったりと座り込んだ。喉も乾いていたが、バス停のすぐ前にあったホテルは廃墟のようになっている。バスを待つ途中、実家からLINE電話がかかってきたが、電波が悪くてまったく会話にならない。スマホを見ると、電波の表示は「3G」になっていた。


 続く





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コメント

こんばんは。
足摺岬へは行ったことがあるのですが、室戸岬はありません。それなので、レポ拝見できて嬉しいです。
結構ドッシリ感ある灯台!
山本コータローの曲イメージ通りな旅が楽しそう^^

投稿: キハ58 | 2024/09/18 22:34

 キハ58さん、ありがとうございます。
 高台に建っている灯台なので、胴が短く、確かにどっしりした感じですね。「岬めぐり」はバスで通過ですが、こちらは降りてから相当歩かなければならず体力勝負です。お遍路さんに負けてはいられないですね。

投稿: いかさま | 2024/09/23 21:07

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