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2025年12月

2025/12/29

2025年の鉄道と私

 札幌では12月に入ると、最高気温は5度を下回り、日に日に寒さが増していくのが常なのだが、12月1日に10月下旬並みの14.7度を叩き出すなどおかしな天気が続いている。8日から14日にかけて、この時期としてはまとまった降雪があり、気温もぐっと下がって、札幌市内の積雪は一気に平年の倍以上、48cmまで増えたのだが、その後再び気温が上がり、積雪は15cmまで減った。
 そうかと思うと、26日夕方から27日午前にかけて、旭川市では猛吹雪となり、12時間降雪量は過去最大の36cmに達した。私はこの日、旭川の寮で暮らす下の坊主の回収に旭川へ行っていたのだが、深夜、飲み屋街から宿泊先のホテルまでの間であやうく遭難しかけ、翌朝はタイヤの3分の2ほどまで雪の中に埋まった車を掘り出すのに難儀した。

 そんな2025年もまもなく暮れようとしている。今年は鉄道路線の改廃については比較的動きの少ない年ではあったが、新たに2つの路線が開業している。
 ひとつは、先般惜しまれつつ閉幕した大阪・関西万博の会場への輸送機関として大活躍した、大阪メトロ中央線・コスモスクエアー夢洲3.2kmである。もうひとつは、広島電鉄の路面電車をJR広島駅ビルへ乗り入れさせるための、広島電鉄本線・(新)広島駅ー稲荷町0.6km、皆実線・稲荷町ー比治山下0.6kmである。


 新しい路線の開業は非常に喜ばしいことであり、お祝いに駆けつけなければならない。また同時にそれは、7年前に鉄道全線を完乗した自分にとっては、その栄誉を保持し、「きれいな体で年を越す」ための必須条件となっている。もともと経済的な事情から、私の鉄道旅行は1年に1回か2回の制約を受けているが、ここ7年間はこのために行先まで制約を受けるようになった。限られた自由時間であるはずの旅の目的とはいささか矛盾しなくもないが、鉄道だけにこだわらない旅の楽しみ方を少しずつ覚えてきたこともあり、そのこと自体はあまり苦になるものではない。


 私は今年の2月に部署異動があり、もともと高かった精神的負荷が倍増どころでは済まない業務を受け持つことになった。夏から秋にかけてはメンタル不調の淵を断崖の上から覗き込むにまで至った。本来ならまとまった休みを取って、さっさと旅に出るのもよいのだが、いっときはそういう気分もやや喪失気味であった。せめて出張の機会くらいあれば気分転換にもなるのだが、その機会さえめっきり減り、2月以降、一度だけ東京に1泊出張したのを除くと、仕事における私の行動半径は、会社から1.3km圏内をはみ出すことがない状況にあった。そのこともストレスに輪をかける、大変良くない状況となっていた。


 そうは言ってもやはり「きれいな体」で年を越したいという思いはあり、タイミングと行程をいろいろと考えるうち、今年が我が家の結婚25周年に当たることに気が付いた。一緒に暮らせばいろいろと不満も多い相手ではあるが、四半世紀にわたって至らぬ自分を支えてもらったことについては感謝せねばならない。


 一方で、嫁は私と「鉄道旅」をすることを好まない。一度、札幌から岐阜の実家に一緒に帰る際、夜行急行「はまなす」~特急「白鳥」~「こまち」~「ひかり」で、約20時間かけて地べたを這って帰ったことがあるが、この時嫁に「二度とあなたとは列車で旅しない」と言われた。その数年後、上の坊主が嫁のお腹の中にいた時に、まだ始まったばかりだった飛行機の「バーゲンフェア」を使い、2泊3日で長崎・別府を回った。嫁は「白いかもめ」に感動し、「ゆふいんの森」に感激したものの、ハイパーサルーンには興味を示さず、元祖「ソニック」に至っては「座り心地が悪い」と酷評であった。この分野において、全く興味のない人と価値観を分かち合うのは非常に難しい。


 それでも、こういう機会は滅多にないことでもあるし、私はとにかく大阪の3.2kmと広島の1.2kmだけが片付けば、極端な話、後の部分はどうなってもかまわない。同行の意思を確認してみると、嫁から「尾道に行ってみたい」という発言が出た。これは決行のサインである。
 他に行きたいところは、と尋ねれば、とくにこれといった希望はなさそうであったが、あとは私の独壇場である。私の趣味の要素をいくらか交えつつも、今回はむしろベタに観光することにしてコースをつくり、きっぷを手配して、11月、旅立つことになった。
 以下、当ブログとしては大変珍しい、嫁とのふたり旅の記録である。


 とりあえず年内の更新はここまで。皆様、今年も大変お世話になりました。



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2025/12/14

1995年・最後の長い汽車旅【31】そしてさようなら、九州。

 前回の続き


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 阿蘇駅前13時34分発の別府行き「あそ登山号」は、定刻より遅れて13時45分、阿蘇駅前バスターミナルに入ってきた。朝8時40分に別府を発ち、阿蘇駅前から阿蘇山西駅まで往復して戻って来たバスである。先客は30歳前後と思われる夫婦だけで、入口ドア直後の「展望席」に並んで腰を下ろしていた。私も最前列、運転手後ろの席に座る。「禁煙席」の表示があり、どうやら全車禁煙ではなさそうである。運転手に「煙草の吸える席は…」と尋ねると、お客が少ないので禁煙席で吸ってもらって構わないとのことである。隣の夫婦も揃っておいしそうに煙を燻らせている。おおらかな時代である。


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 バスは、起伏に富んだ草原の中をゆったりとしたスピードで走る。「やまなみハイウェイ」と呼ばれるこの道路は、前年無料化されたばかりで、完全2車線で舗装もしっかりしている。小粒の雪は相変わらず降り続いている。路面は溶けた雪で濡れている。
 途中、八本松のドライブイン「雲海」で、10分あまり休憩。この間に運転手は、バスの左後輪にチェーンを装着した。一応スタッドレスタイヤを履いているが、ブレーキの効きがかなり違うとのこと。ここから湯布院までの道路は、午前の段階で部分的に凍結している状態だったそうで、九州でも山地では道路が凍結するのか、スタッドレスタイヤという概念も存在したのか、などと変に感心した。


 運転手の言葉どおり、九重連山の中を抜けて湯布院へ下る道は、うっすらと道路が白く、圧雪状態になっている。そのうえ、これまでとはうって変わったカーブの連続で、運転手の緊張が伝わってくる。岡山から来たという夫婦も、緊張して前方を見つめていた。
 バスが左曲がりの急カーブに差しかかった時、下から登ってきた赤い乗用車が、カーブで横滑りして、私たちのバスの目の前でガードレールにぶつかった。一瞬、あっ、と思ったが、バスは乗用車の直前でなんとか停止した。先ほど巻いたチェーンが効いたようで、4人揃って、ほっと安堵の息を漏らす。乗用車の傷はさほどでなく、乗っていた人間も無事だったようで、幸いであった。


 付近が別荘地のような雰囲気の山下湖バス停で夫婦が下車すると、乗客はついに私ひとりになった。運転手に話を聞くと、夏休み中などオンシーズンは乗客が殺到するらしい。この時期はいつもこんなもんだよ、と教えてくれた。雪のせいで30分ほど遅れたバスは、16時頃、湯布院バスターミナルに到着。ここで下車する。私を降ろしたバスは運転手だけになって走り去っていった。
 JR由布院駅のコインロッカーに荷物を預ける。漢字がややこしいが、由布院町と湯平村が合併した際、双方の顔を立てて湯布院町としたためである。駅名や温泉名として「由布院」は残ったが、湯布院町は周辺町村と再合併して由布市湯布院町となり、一層ややこしくなっている。


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 先ほどの山の中とは別世界のようによく晴れた湯布院の町を20分ほど歩いて、以前何かの雑誌で読んで記憶していた「下ん湯」へ行った。小さくて簡素な造りの外湯だが、わずか100円(現在は200円)で入浴できるというところである。辿り着いた「下ん湯」は、木造の古びた小さな建物で、入口に料金を入れる小さな柱のようなものが立っている。野菜の無人販売所のような、信用商売らしい。100円玉を入れて中に入ると、洗い場もなく粗末な造りだが、露天風呂もある。お世辞にもあまり綺麗とは言えない湯にじっくり浸かって、九州1週間の疲れを流した。タオルを持ってくるのを忘れて、仕方なく脱いだシャツで濡れた身体を拭いた


1995020504  今日はじめての列車となる由布院17時33分発の大分行き普通列車は、JR九州が久大本線用に新製投入した黄色い軽快ディーゼルカー、キハ125形単行のワンマン列車であった。島原鉄道でお目にかかったキハ2500形ディーゼルカーと似た風貌である。大分で切符の経路にめでたく復帰し、同じキハ125形1両の日豊本線亀川行きに乗り換えて、別府には19時17分に着いた。


 別府から港へ向かって歩く間に、「駅前高等温泉」を発見した。ただの銭湯かと思ったのだが、2階の部屋で宿泊も可能で、1泊1,500円、個室利用でも2,500円と掲示されている。一瞬、ここに泊まって、明日あらためて四国を目指そうか、とも考えたが、温泉はさっき由布院で浴びてきたし、もしここに泊まってしまったら、もう少し九州に居たくなるに違いない。自分で下した決断をあっさりと転換するのが憚られたので、唇を噛むようにして港へ向かう。 途中見かけた地上17階、高さ60メートルの別府タワーに200円(現在は800円)の展望料を払って上り、展望台のレストランで遅い夕食をとりながら、1週間の旅の記録を整理した。


 22時を過ぎて、折からの強風の中、港への道を歩く間、もっと行かなければならないところがあったような気もしたし、九州で時間を使い過ぎたような気もする。この次はいつ来られるのだろうかと、ただそんなことを考えていた。
 別府港のターミナルビルで1時間あまり過ごし、23時半、乗船開始となった。このまま乗船してしまって本当にいいのか、という思いが再び去来するが、この時間に至ってはもう選択の余地はない。八幡浜を目指すフェリー「べっぷ2」の2等船客は20人ほど。23時55分の出航を見届けた後、隣で「ンビー」「フンゴー」と凄まじい鼾を奏でるおやじを気にしながら、横になって目を閉じた。


 「1995年・最後の長い汽車旅」前半戦にていったん中断。



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2025/12/08

1995年・最後の長い汽車旅【30】阿蘇山近辺散歩

 前回の続き


 2月5日、朝7時半、爺さんの合図で目が覚める。窓の外は今にも泣き出しそうな天気である。朝食は8人全員揃ってトースト・コーヒー・コーンフレークをとる。実はこの年になって、コーンフレークというものを食べるのは初めてである。「まあ食べてみろよ」と周囲から言われ、牛乳をかけて口に運んでみたが、びしゃびしゃしていてあまりうまいものだとは思わなかった。8時半前後から、みな思い思いの行き先に向けて出発していった。私は、大阪ビジネスマン氏と一緒に、ユースホステル前バス停で阿蘇山を目指すバスを待った。


 バスは、定刻8時39分のところ、6分ほど遅れて来た。貸切タイプのバスの乗客は少なかった。阿蘇山へ登る道路は有料道路になっており、車内には観光名所などの案内放送が途切れることなく流れるなど、純然たる観光路線バスである。
 広大な草千里の風景に魅かれて、草千里・阿蘇火山博物館バス停で下車。このまま山上を目指すビジネスマン氏とはここでお別れである。バスを降りると、細かい雪が降ってきた。雪に見舞われるのは、5日目の益田以来1週間ぶりである。九州に入ってからずっと、気温こそかなり低い感じがしていたものの雪は降らなかった。遠く離れた札幌では、雪祭りが始まっている頃である。


1995020501_20251124215901 道路を隔てた向こう側に広がる草千里の光景は、起伏に富んだ広がりを持っており、のびやかである。残念ながら鈍色の空の下だが、天気が良かったらとても気持ちが良いに違いない。夏の陽射しの下で馬が走り回る姿が目に浮かぶ。
 バス停の目の前にある火山博物館の建物の中でコーヒーを飲み、土産物屋で手頃な品物をいくつか実家へ送っておく。10時25分のバスで山上を目指す。韓国人の旅行団体が乗車しており、和気あいあいと観光を楽しんでいる様子である。そう言えば、ユースホステル内に掲示してあったいろんな注意書きにも、日本語、英語と並んでハングル文字の標記があった。


 山上の阿蘇山西駅から阿蘇山の火口まではロープウェイが通っているが、火山活動が活発になったとかで運休中。11時05分のバスで阿蘇駅へ戻る。昨日と同じ国道沿いの「イースト」へ2日連続で立ち寄り、クリームハンバーグで昼食をとりながらこの先の予定を考えた。すでに九州入りして1週間が過ぎ、名残は惜しいが、そろそろ九州を脱出するタイミングではある。となれば、次の目的地は別府である。阿蘇から別府へは、JR豊肥本線が豊後竹田・大分を経由して通じているが、この時間帯は接続が悪く、普通列車だけの乗り継ぎだと別府着は19時になる。特急なら16時前には着けるが、それはそれでもったいない気がする。


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 長崎-熊本-阿蘇-湯布院-別府とつなぐ九州屈指の観光ルートには、当時、九州国際観光バスの「九州横断バス」が走っていた。1995年時点では、長崎-別府「やまなみ」1往復、熊本-別府「あそ」2往復、「くじゅう」3往復、別府-阿蘇山ー別府と折り返す「あそ登山」1便に加え、長崎-熊本「ながさき」2往復があった。直行便の「くじゅう」以外は阿蘇山や天草観光を盛り込んだダイヤになっており、長崎便は熊本・三角-島原でフェリーにも乗った。九州横断バスは、その後九州産交バスが引き継いだが、現在は熊本-別府1往復、熊本-湯布院2往復で、ロープウェイが廃止された阿蘇山にも立ち寄らず、当時の面影は少ない。


 阿蘇から別府に向かうバスは、この時間からでもまだ4本あり、所要時間は2時間40分ほどと手頃である。バスの性格上予約制だが、空席があれば当日飛込でも乗れるらしいので、まずはこのバスに狙いを定めることにした。




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