2025年秋 夫婦勤続25周年の旅【1】大阪メトロ中央線・祭りのあと
いつも立ち寄っていただいている皆様、ご挨拶が遅れましたが、本年もよろしくお願いいたします。
前回予告したとおり、昨年11月、私には珍しく嫁と二人で旅に出ることになった。
その行きがかりは前回書いたとおりである。ただ通常、私の旅の主目的は、その年新たに開業した鉄道路線に乗ることである。今回の場合は、主目的と「ついで」が逆転しており、「通常時の主目的」はなるべくあっさりと済まさなければならない。
11月7日、金曜日。新千歳発のJAL2000便は、ほぼ定刻の10時55分、大阪・伊丹空港に到着した。新大阪駅へリムジンバスで移動し、そこから歩いて10分足らずのレンタカー営業所で大阪在住の上の坊主と合流した。8時間で6,000円強とお安く借りられたトヨタ・ヤリスに3人乗り込み、まず向かったのは、大阪・関西万博が3週間ほど前に終了し、「万博跡地」となった夢洲である。息子が住んでいて泊まる場所に困らないにも関わらず、私たちは万博を見に行かなかった。非常にもったいない話ではあるが、夫婦揃ってどうにも興味がわかなかったのだから致し方ない。ただ、TVのバラエティ番組で取り上げられていた「ヨヤクーナシデー」のインドネシア館だけは多少気になっていた。
日ごろの行動半径が市内南部に限定されている坊主も含めて私たちに土地勘はなく、ひたすらカーナビの指示通りに走ることおよそ1時間、先日まで大阪メトロ中央線の西端だったコスモスクエアのある咲洲を挟み、大阪港咲洲トンネル、夢咲トンネルと、人工島を結ぶふたつの海底トンネルをくぐって、夢洲に入った。道路の右手にはコンテナヤードが広がり、走る車もトラックやダンプが多い。
万博会場の東ゲート付近で道路は通行止めになっている。運転を坊主に託し、私はひとり車を降りた。会場跡地の解体や新施設の建設に向けて、おびただしい数のクレーンがアームを上げており、さながら無機質な万国旗のようである。
駅へつながる道路へは直接入ることができず、少し遠回りして夢洲駅へ歩いた。道路に面して無機質なエレベーターがあるが、建物の外を通って正面の入口へ回ってみると、万博の東ゲートに向かい合う形で夢洲駅の出入口がぽっかりと口を開けていた。会場跡地は仮囲いで覆われており、東ゲートの屋根上に設置されたサインだけがかろうじて見える。周囲の人影は少なく、工事現場の入口に立つ警備員の姿が目立つ。わずかに歩いている一般の人など、何を目的にここに来ているのだろう、と思う。もっとも、逆から見れば私も同類である。
万博来場者をさばき切った夢洲駅の出入口は大きく、地下の改札階につながる階段も大挙してくる来場者をさばくためにたいそう広い。6か月の会期中に延べ4,000万人、1日平均21.7万人が利用したというから、大阪環状線・南海本線の新今宮、大阪メトロ御堂筋線・中央線・四つ橋線の本町駅に匹敵する。大阪府内に限ればベスト10、全国ベースでも100位以内に入る。閉幕近くのピークには1日35万人がここを行き来した。地下から見上げる階段にラッピングされていたミャクミャクは、ちょうど前日に撤去されたと聞く。
今となっては無用の広さとなった改札口とコンコースを抜け、ホームに下りると、13時49分発の学研奈良登美ヶ丘行き電車が停まっていた。「G-SHOCK」のようだと評判になった大阪メトロの新型電車ではなく、近鉄東大阪線から乗り入れる7000系電車であった。
万博期間中、最大で上下755本、2分30秒間隔で運転された大阪メトロ中央線は、万博終了後に運転本数が半減して万博前の水準に戻り、しかもそのうちの約4割はひとつ手前のコスモスクエア折り返しとなった。夢洲発着の電車は上下合わせて200本前後、昼間の時間帯は15分間隔となったが、6両編成の車内を観察する限り、これでも過剰すぎる輸送力である。
10人ばかりの乗客を乗せた電車は、発車すると左へ緩やかにカーブしながら勾配を下り、咲洲との間の海底をくぐる。この間の線路は、先ほど通って来た夢咲トンネルと一体で整備されており、壁の向こうにはさきほど通って来た自動車トンネルが並走しているはずである。下り勾配から上り勾配に変わったのを感じて、地下鉄路線としては珍しい3.2kmの駅間を5分で走り抜け、コスモスクエアに到着した。各ドアから数人ずつの乗客が車内に入ってきて、ようやく都市交通らしい姿になった。
夢洲には今後、IR(統合型リゾート)が整備される予定になっており、完成は2030年頃が見込まれている。おそらく夢洲駅と中央線の電車は、ほぼ空気を運びながらその時を待つのだろう。私はコスモスクエアで電車を降り、改札を抜けて地上へ向かった。とりあえずこれで、「ついで」のひとつは達成した。殺風景な夢洲とはうってかわって、マンションやビルが林立する駅周辺で、車で先回りした嫁と坊主が待ち構えているはずである。
続く。
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